第三日〜昼〜

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「ただその基準からすると、2人の昨日の発言ではそこまで差はない。それで……」 「や、割り込んじゃうけどさ、ボク、そこのホスト君とは違ってちゃんと理由も言ってたと思うんだけど」 才商さんは笑顔のままそう言って両手を机の上で合わせた。……ポーズといい彼の風貌といい、なんか商談を持ちかけられているような気分だ。 「『自分もビデオの中で名指しするのを聞いた』というのは、自分の意見というより周知の事実を述べただけですよ。俺の基準から比較すると、美坂さんの“感情論”と大した差はない」 「……あ、そう。で、それで?」 才商さんは低く深くため息をついて背もたれに寄りかかった。対話ゲームだから仕方ないとはいえ、誰かの敵意は精神をすり減らす。俺は呼吸を落ち着かせようとメモ用紙に目を落とした。 残りは8人。今日昼と夜に二人退場して……。ん……? 「あー……、ちょっと待ってください」 「は?んだよ、早くしろ。時間意外とねーんだぞこれ」 拳坂くんの苛立った声に俺はすみません、と付け足してメモ用紙に書かれた数字を計算した。 ……ああ、やばい。これ今日狼当てないと…… 「あー、すみません。才商さんっての撤回してもいいですか」 俺は言ってる途中で周りからの注視に耐えられず、はにかんでしまった。 「……何か理由があるんだろうな」 海画さんが静かに続きを促す。この人が霊媒師で本当に良かった……。 「ええ、勿論です」 俺はメモ用紙の切れ端にまとめた計算式を見て話し始めた。 「計算してみたんですが、今日狼、または狂人を処刑できなかった場合、明日には決着が着いてしまう可能性があるんですよ」 「どういうことだ?」
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