第三日〜昼〜

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「ということは今日、狼は何がなんでも市民陣営を吊りたいはず。だから狼同士がラインを切ってくる……つまり、攻撃し合って味方ではないように見せることはメリットが少ない。少し不審に思われても市民を吊った方がよっぽど楽なんだ」 メモ用紙の名簿に目を落として慎重に喋る。ここで要らない間違えをして変に疑われたりしたらたまったもんじゃない。 「それを踏まえると、才商さんと美坂さん、雪話さんと才商さんの組み合わせの線は薄いように思えます。」 「だがその考察を聞いたあとじゃ、狼同士でも逆に切り合ってくんじゃねぇの」 拳坂君は円卓に肘をついてじっと目を見てくる。俺は彼に向き直って続けた。 「うん。だから後二人の指名した人同士に関しては、可能性が低いとは考えない。勿論内容や説得力によるけどね」 そう言って薬師丸さんと美坂さんの方を見ると、2人は黙って考え込んでいるようだった。 「そう考えると俺目線では、才商さんと薬師丸さん。美坂さんと薬師丸さん。美坂さんと雪話さん。雪話さんと薬師丸さん。この四つの組み合わせの可能性が高い」 「ん、あれ?じゃあ美坂と雪話が狼の場合以外、山田の考察じゃ薬師丸は狼ってことになんじゃん。」 「そうなりますね。四通りのうち、三通りが薬師丸さんを含んでいます」 「……山田はじめ、君は最初才商優氏を指名したのでは無かったのか」 「ええそうです。正直言って、さっきはまだ迷ってる中で指名した。変えることは申し訳ないけど、今回はちゃんと根拠があって指名しますよ。」 薬師丸さんは黙ってこちらを見ている。……彼の恨みを買うかもしれないが、ここで止まる訳にはいかない。
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