第三日〜昼〜

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 「ああ、分かっているさ!分かっているとも......!」  彼の綺麗な顔が葛藤に歪む。彼は口を噛み締めたまま何秒か目を閉じたあと、顔を上げて薬師丸さんを真っ直ぐ見据えた。    「でも、このゲームはとどのつまり誰を信じるか、そうなんだろう?」  彼は絞り出すようにそう言った。彼の方に向き直った薬師丸さんがその時どういう顔をしていたのかは分からない。ただ、沈黙がホールに流れた。  「貴方のことも彼のことも、僕はよく知らないよ。ただ、僕は彼が友人を失いながらも的確な考察をし、戦っている姿勢を信じたく……なったんだ」  美坂さんは言葉の粒を一つ一つ置くように小さく、ゆっくり言った。  彼は、思った以上に感受性の高い人だ。この論理と説得力だけがものを言うゲームの中で、彼の特性は致命的だと言ってもいいだろう。だが、俺はこのゲームで麻痺しつつあった「疑う」怖さを彼のお陰で少し取り戻せたかのように思えた。 それに、このゲーム的に考察すると、彼のような性格の人は結構信じられやすい。論理抜きで感情で動く人ってのは、「なんか白っぽい」んだ。 ......彼は俺を信じてくれたようだが、俺は彼を信じることはまだ出来ない。そう心の中で呟きながら、もう残りわずかになった砂時計を見ていた。
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