第3話 夏の夜の夢の中

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第3話 夏の夜の夢の中

竜也は目を覚ました。 「竜也、大丈夫?」 月島が心配そうに見つめている。 「大丈夫です」 見ると、そこに他のメンバーもいた。 「とりあえず点呼取るわね。健治」 「はい」 「クリス」 「はい」 こうして点呼を取った結果 「玲理(れいり)がいない!」 大野と如月が同時に叫んだ。大野は部長としての心配から、如月は彼女に想いを寄せる者としてだ。 「とりあえず捜しましょう!」 水鏡(みかがみ)さ~ん!」 「玲理ー!」 「レイリ~!」 「いた?」 「いない」 「ここがどこだかわからないのに、闇雲に捜してもな」 大野がそう言ったとき、視界を通り過ぎる者があった。 「♪丘を越え、谷を越え♪...」 「ウソ! 妖精だ!」 玲亜が驚きの声を上げた。 「妖精が歌ってる!」 「『夏の夜の夢』の世界みたいね」 クリスの頭に浮かんだ考えをみことが肯定する。 「みんな。隠れるわよ。ここで待っていると、もしかしたら...」 月島の合図で隠れて待っていると、 「なぜわかってくれぬのだ。偏屈ティターニアよ。お前が小姓にしたあの玲理 という美しい子! あの娘を欲しいと言っているだけなのだ」 「いやよ、あの子はわたくしの子です!」 「玲理!?」 部員たちは顔を見合わせて小さく叫び、みことは 「やっぱりね」 とウインクした。
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