5人が本棚に入れています
本棚に追加
第3話 夏の夜の夢の中
竜也は目を覚ました。
「竜也、大丈夫?」
月島が心配そうに見つめている。
「大丈夫です」
見ると、そこに他のメンバーもいた。
「とりあえず点呼取るわね。健治」
「はい」
「クリス」
「はい」
こうして点呼を取った結果
「玲理がいない!」
大野と如月が同時に叫んだ。大野は部長としての心配から、如月は彼女に想いを寄せる者としてだ。
「とりあえず捜しましょう!」
水鏡さ~ん!」
「玲理ー!」
「レイリ~!」
「いた?」
「いない」
「ここがどこだかわからないのに、闇雲に捜してもな」
大野がそう言ったとき、視界を通り過ぎる者があった。
「♪丘を越え、谷を越え♪...」
「ウソ! 妖精だ!」
玲亜が驚きの声を上げた。
「妖精が歌ってる!」
「『夏の夜の夢』の世界みたいね」
クリスの頭に浮かんだ考えをみことが肯定する。
「みんな。隠れるわよ。ここで待っていると、もしかしたら...」
月島の合図で隠れて待っていると、
「なぜわかってくれぬのだ。偏屈ティターニアよ。お前が小姓にしたあの玲理
という美しい子! あの娘を欲しいと言っているだけなのだ」
「いやよ、あの子はわたくしの子です!」
「玲理!?」
部員たちは顔を見合わせて小さく叫び、みことは
「やっぱりね」
とウインクした。
最初のコメントを投稿しよう!