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1 バッド・ドリーム・デリシャス
深夜二時。
夜空に浮かぶ月がパッションオレンジに輝き、そして星々はビーズのようにきらきらと煌めく。
今日は一か月に一度訪れる、月が笑う日。
「いよいよですね、初任務」
六門ククルはとんがり屋根の上で体育座りをしながら、パッツンに切った前髪をなぞった。
パープルとピンクが混ざりあうマーブルもようの雲が、いくえにも重なり月の背景を流れていく。
「うう、緊張してきました。や、や、ヤム……」
その時、夜の静けさにまぎれ、モノクロの生物がククルの背中に突撃してきた。
「またヤんでんのか、ククル~!」
「ぎゃあッ!」
よろよろと背中をさするククルの周りを、そいつは四足でトコトコと歩き回っている。
「……ちょっと、なにしやがるんですか! バベル!」
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