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街が狂気に犯された今になって、大西は、自分の内に秘めた「己自身が震え経つが如き怪物」の存在に気が付き、実際に触れた。
吉井…お前の言っていたことが、今になってわかった。お前の言う通りだったかもしれない。
俺は、広田と初めて寝たその日、愛すべき妻と愛人、決して比べてはならない両者のどちらかを、原型が無くなるまで、滅茶苦茶にしてやりたいと思っていた。そうだ、それこそ、純粋な暴力、殺意の下…
してはいけないと自制が働くからこそ、その衝動には価値がある。いやしかし、それでも、俺は…
狂気に身も心も委ねば、この世界に存在を許されないのなら!滅びを選ぶのみぃい!
大西は、オベリスクに一本の刀を突き立てた。己の狂気を理解し、それに苛まれながらも、物見の最期の願いを果たす確固たる決意を果たしたのだ。
ありがとう…
オベリスクに致命的な亀裂が走ると共に、蘭の意識はラフィアの流れに溶けていった。もう二度と、肉体に帰還することは無い。だがしかし、彼女は誰よりも自由になった。
会えるんだよ。また…
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