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ミカエルと白うさぎ
ふわり――雪が舞う寒い冬の話。
四大天使のひとり、ミカエルは雪の降り積もる森のなかにいた。
人間の暮らす街に降り立つつもりが、どうやら座標がずれてしまったらしい。
小さくため息を吐いたミカエル。
天界に戻るにしても、行き来するためのゲートを開くには時間がかかる。
「リーエじゃなくて、ブルーに頼めば良かった」
今回、人間界への座標固定はリーエこと、同じ四大天使のウリエルが手伝ってくれた。
しかし、彼女は致命的な程に方向音痴で、最初の座標から固定し直した際、東西南北を逆に指定してしまったようだ。
ブルーはガブリエルで、彼女も人間界によく顔を出すため、座標固定はお手のもの。
しかし、たまたま今回、天界に彼女の姿がなかったため、ミカエルはウリエルに協力してもらったのだ。
「あとでルシをシメよう」
ルシ――ルシフェルはミカエルの弟で、何かある度にとばっちりで被害を受けている。
今回もまた、ウリエルの代わりに、ルシフェルが責められるようだ。
吐き出す息が白くなるほど冷え込んでいるが、ミカエルの服は寒さにも暑さにも対応できる特殊素材で出来ている。
寒さを感じないながらも、鬱陶しいらしくブーツの先で積もった雪を蹴った。
「……ああ、でも、全くの無駄ではなさそうね」
魔物の気配を感じ、雪道を急ぐ。
木々が生い茂り、雪も降っているなかでは飛ぶことは出来ない。
ほんの少し、苛立ちを覚えながらミカエルは魔物を探していた。
――ガア、ガア!
カラスのような鳴き声が響く。
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