0人が本棚に入れています
本棚に追加
それから数日経ったある日、
「お姉ちゃん、今日暇?買い物付き合ってくれない?」弟にそう言われた。
「うん、いいよ」この前ぶりの買い物。
私は万が一に備えてお財布にお年玉の一万円を入れて家を出た。
「お姉ちゃんはさ、」
「え?」
「欲しいものとかないの?」
欲しいもの?急にどうしたのだろう。
「特にないかな。どうして?」
誰かへのプレゼントを探しているのだろうか。
「ほら、お姉ちゃんそろそろ十七歳の誕生日でしょ?俺の誕生日にはスマホケースもらったし、お返ししたいなって」
私は驚いた。私はまずあれが誕生日プレゼントだった事を知らなかった。
確かに、去年テレビで『兄弟にあげる誕生日プレゼント特集』を見ていたら、弟も見始めたから、なんだか気まずくなって何か欲しいものがあるか聞いたんだったっけ。
「あ、えっと、髪飾りが欲しい、かも」
「わかった、任せて」弟は笑顔でそう言い、そそくさとアクセサリー店に向かった。
「これかこれが似合うと思うんだけど、どっちがいい?」
「こっち、かな」
「俺もこれが良いと思ってた。買ってくる!」弟が買ってくれたヘアゴムは赤いリボンがついており、とても可愛かった。
私は素直に嬉しかった。
「喜んでもらえたみたいで良かった!」
「あ、ありがとう!ほ、ほら、行こ!」
私はそそくさと逃げるように歩いたが、今日は履き慣れないヒールだったからかよろけてしまった。
「大丈夫?無理すんなって」
弟は私を支えた。無理するなと言われたって私だってお洒落したいのだ。ヒールを履くことくらい許されたい。でも、弟に心配されるのは照れ臭いのでもうヒールを履くのはやめようかなと思った。
最初のコメントを投稿しよう!