プロローグ

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と、まぁこんな感じで、クリスティーヌより前は「希代の悪女」に相応しい生涯を送っていた。 (本当、何がどうしてこうなったのかしら。) メディアとのお茶を楽しみながら、ステファニーは他人事のように思った。 (何がどうなったと言えば……。クリスティーヌの時は姉、今世では末の妹だなんて。) クリスティーヌの姉 カトリーヌ・アン・ルクセルは、ステファニーが愛してやまない末妹 アリシア・レイラ・ボルボン王女に生まれ変わろうとは……。 母が出産後暫くしてから兄たちと共に、生まれたばかりのアリシアを見舞った時。 アリシアを見て本能で分かった。 「ああ……また巡り合ったのね。」と思った。 クリスティーヌの時、処刑される姉を見て「お姉様より頂いたこの命、決して無駄には致しません。もし…再び生まれ変わる事があるのなら、今度は私がお守りします。」と固く誓った。前世では姉と妹だったのに、まさか今世で逆転するなんて。 (とんだ巡り合わせよね。宿敵だったのに。) アリシアもまた、ステファニーと同じく転生を繰り返していた。 アリシアの前はクリスティーヌ最愛の姉 カトリーヌ。 カトリーヌの前はマリアンヌの継母ブルッティア・メリー・リッパー侯爵夫人。マリアンヌの暴走を止めようとしたが、逆上したマリアンヌに殺された。 リッパー侯爵夫人の前は蘇貴妃より後宮を追放された周王朝 文帝の正室 呂皇后(ろこうごう)。 呂皇后の前は、伊予女御の策略で失脚し、暗殺された廃后 藤原脩子(ふじわらのながこ)。 脩子の前は皇后ユリア=テオファノにより夫と財産を奪われ、刑務所にいる凶悪犯たちに襲われて悲惨な最期を遂げた大帝国の賢夫人と呼び名が高いドミティアである。 アリシアの前世で一貫しているのは、常にステファニーの前世では宿敵であった事、賢夫人で心優しい女性であった。 (アリシアはまだ幼いけど、いずれは"賢夫人"と呼ばれるような片鱗は見えてるのよね。 魂までは変わらないのね。って、魂が変わらないならどうして私もクリスティーヌも悪女じゃないのかしら?あの世で一体どんな修行したのよ。) 「王妃、国王陛下がお見えです。」 「ありがとう、お通しして。」 侍女に案内され部屋に入ってきたラッセルは相変わらずイケメンだよなぁ……とステファニーは思った。 「陛下、今日はどうなされたのですか?」 「いや、一緒にお茶でもと思って……。」 メディアはラッセルの為にお茶を淹れて、そそくさと部屋から出て行った。 「メディアが用意してくれたの。イーヴァ王国の茶葉ですって。」 「うん、良い香りだな。」 (巡り合わせ……ね。貴方とこうして夫婦で居られるて。私はすごく幸せなのよ?。)
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