凝り性

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凝り性

 ここで皆様にもうひとつわたくしのことについてお話しましょう。  わたくしはかなりの凝り性で、友人からは“オタク気質”があるだなんて言われておりました。  それに加えて知りたがりで、好きなことは何でも、詳しく、誰よりも知っていなくては気がすまない性分でございます。  話を戻します。  わたくしは運命の相手であるヒソカくんを見送った、直ぐにスマホを取り出しました。足元に彼のパスケースがやってきた時にチラリと見えた通勤定期。そこには── “サクラ ヒソカ様 32才 男”  そう確かに記されていました。  ネットでの調べものが異様に得意なわたくしには名前さえ知れればそれで十分。しかも彼が利用する駅まで知ることが出来たのですから重畳。更に更にヒソカくんがパスケースを拾う為にしゃがみこんだ時に、彼の胸ポケットにしまわれていた社員証がちらりと見えてしまったものですから勤め先もバッチリ把握しました。  わたくしは自身が降りる駅へ着くまでの間にヒソカくんについて殆どの情報を得ることが出来ました。  ありがとう、ネット社会。ありがとう、SNS。ありがとう、ネット上でのお友達。ありがとう、ありがとう。  あとは自宅を特定するだけ、そんなのは容易いこと。わたくしは電車から降りると軽やかな足取りで会社へと向かったのです。  ええ本当に、この時のわたくしは浮かれに浮かれきっていたのでございます。
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