ヒーローかぶれは窓越しに

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ヒーローかぶれは窓越しに

みんなに優しいヒーローになりたかった。 怒っている人に「私にぶつけて」とか 泣いている人に「私がいるよ」だとか 声を掛けられるような、みんなのヒーロー 雨にも負けず、なんか比でもない みんなに愛されるひと ずっと、ずっと憧れていた でもね、今日の朝気がついたんだ なんでみんなヒーローにならないのに 私だけが疵を代わりに負うのかなって なんでこんなに苦しくなってるんだってさ 共感しちゃったんだ 人生を愉しく過ごす誰か 電車の向かいの席で笑う学生 今年は何処に行こう、と笑う高校三年生 一緒にいると楽しいね、と笑う彼等 幸せに生きた人は、傷みを知らないって ちょっとした記事だったけど、 ちょっとした一意見だったけど、 僕はそんな小さな たった49いいねのコメントに殺されたんだ ヒーローはきっと、こんな事思わないよな 自衛、他人行儀、無視、鰥寡孤独な流動体 そんな、小さな「社会」という教室の窓 たった1人、僕は教室を見ていた そんなつもりだったけれど、 内から反射した教室を見ていただけだったんだ 僕は、ヒーローに成り損ねた。
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