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多くの人々の前で起きたことゆえ、弓削朝忠の活躍は帝の耳にも入った。それだけではない。他の陰陽師の怠慢も報告されていたのだ。
「弓削朝忠、その方の活躍、日頃から耳にしておるぞ」
帝は陰陽師全員を呼んでいた。皆が頭を下げて、帝の話を聞いていた。
「ありがたきお言葉にございます」
さらに頭を下げ畳に額をこするほどの朝忠だった。
「弓削朝忠、その方を今後、陰陽師筆頭とする。陰陽師の人事もまかすゆえ、腕を振るうのじゃ」
他の陰陽師は、わなわなと体を震わせていたが、何も言えるわけがなかった。
弓削朝忠は、土御門に代わって、陰陽師筆頭になった。陰陽道の学校を作り、能力のあるものを次々に陰陽師に抜擢していった。
やがて、平安の世に妖を見かけることもなくなり、妖は伝説となった。
了
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