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「まさかあの時の少年が、あのような化け物になるなんて……」
土御門邸に集まった弓削家以外の陰陽師たちは土御門の言葉に一同うなずいていた。
「いや、小鬼を一人で倒すなんて化け物にしかできない」
「これからは、どんどん弓削朝忠殿に仕事をさせよう。俺たちは楽になる」
「さすがに何もしないわけにはいかない。弓削が魔物退治をしている間に出てきた魔物は我々でやろう」
そんな、よからぬ話をしていた。
東京極大路に鬼が出現した。朝忠は、西に出た狐退治に出かけており、他の陰陽師たちが向かった。人間の三倍もの大きさの鬼に陰陽師たちはなすすべがなかった。朝忠が遅れて現れた。
「遅くなった。これは、俺に任せろ」
「いでよ、龍」
朝忠は、式神を呼び出した。
巨大な青い龍が空を泳ぐ。
その式神こそ、青龍であった。龍は朝忠の命に従い、口から炎を吹き出し、巨大な鬼を焼き尽くした。鬼は灰となって消えたのだ。
それを見た陰陽師たちは肩をすぼめてて帰っていった。
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