姉弟

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「せっかく美味しいお肉が手に入るところだったのに……」  今夜はご馳走だと喜んでいたというのに、獲物を逃してしまった。猫は獲物をお手玉にして遊んでしまう。あの男を抱きしめた手を離したのが失敗だった。 「こんなんやったら、あの時食べとけばよかったわぁ」後悔先に立たずとはまさにこのことか。猫又はぶーっと頬を膨らませた。そしてふと足を止める。 「……あら?」屋根の上に何かが落ちているではないか。それは小さな紙袋だった。 「これ、何やろう?」首を傾げながら猫又はそれをくわえると、ぽいっと口の中に放り込んだ。バリバリとかみ砕く音が響く。 「まっ! なんて甘いお菓子なのかしらっ!!」  猫又がひょいと首を上げると隣の屋根の上にも同じものがある。 「うわぁ、すごいわね!」猫又はぴょんと飛び上がり、隣の屋根へと移動した。隣の屋根にはまた同じものが落ちていた。猫又はそれをもぐもぐと食べる。甘くておいしい。夢中になってそれを食べ続けた。
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