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光陽くんの過去を知って、自分の背負っていたものが軽くなったような気がした。
朝陽と出会い、光陽くんを知って、人を信じようとしなかった私が、人を信じたいと思い、光陽くんみたいに明るくなりたいと、希望の光が遠くに見えて来た。
……
「 光陽? 」
私の後ろから光陽くんを呼ぶ声
振り向いた先にいたのは、セミロングのウェーブの髪が茶色に染まり、耳にはシルバーのハートのピアスが光る、目鼻立ちのはっきりした綺麗な女子高生だった。
光陽くんの知り合い?…
「 おはよ! 」
光陽くんは振り返ると彼女の名を呼んだ。
「 美里亜… 」
彼女は私が横にいることなど気にも止めず、光陽くんに近寄ると、腕を絡めてぴったりと彼に寄り添った。
「 ……ちょっと待てよ… 」
光陽くんは私の方を見ながら、気まずそうに彼女の腕を振りほどく
「 なに恥ずかしがってんの? 」
すると彼女はまた、強引に光陽くんの手を握りしめて彼の真横に並んだ。
「 そんなことあるわけねーし 」
「 手ぐらいいいじゃない…彼女なんだから… 」
その言葉を聞いた私は、富永さんの話を思い出した。
彼女じゃないらしい…
けれど
いたたまれなくなった私はふたりから離れ、速歩きで学校へと向かった。
綺麗な人だったな…
商店街を過ぎたところで、後ろを振り返ってみた。
さっきまで話していたのに…
…光陽くん…
地味な私とはぜんぜん違って、華やかさがあるあの人なら、光陽くんとお似合い
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