召喚された二人

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召喚された二人

「「ここはどこだ?」」  二人の高校生は眩く光る魔法陣の中央に立っていた。 「ようこそ、わが国へ。二人の勇者殿」  進み出たのは麗々しい式服を身に着けた中年の女性であった。見るからに位の高い聖職者であろう。 「勇者召喚だな」 「帰還は可能なのか?」 「召喚目的は何だ?」 「能力測定手段はあるのか?」 「訓練の計画と内容は?」 「支援体制はどうなっている?」 「魔法やスキルなどの情報をくれ」 「「とにかくまず情報だ。情報をよこせ」」  二人は口々に質問と要求を述べ、最後はぴたりと言葉をそろえた。 「こ、これは……」  聖職者、実のところこの国の法王であるエリカ・マウリは二人の勢いに圧され、目を白黒させた。  よく見れば二人は同じ顔(・・・)、同じ背格好をしていた。 「どういうことですか? お二人はまるでそっくりではありませんか」  思わず疑問を口にしていた。 「「双子だが、何か?」」  二人の男子は声をそろえて答えた。 「双子? 双子とは二人兄弟ということで?」  法王の様子を見て二人は顔を見合わせた。 「双子を知らない?」 「この国には双子がいないのか?」 「「面白い!」」  二人の目がきらきらと輝いた。 「とにかく話を聞かせてもらおう」 「立ち話も何だろう。落ち着ける部屋に移ろうか」 「「案内してくれ」」  法王は言われる通りにするしかなかった。
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