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ティッシュで鼻をかむと、気を取り直したようにキッチンに向かった。
「子猫、どうするのかな」
「子猫?」
義兄との会話の内容を話すと深いため息をついた。
「猫がダメな事は話してあったのにな。本当にあの人は私の話を全然、聞いてないんだ」
「姉ちゃん、どうするの? 離婚するの?」
「離婚より離縁って方が合ってる気がする」
そう言ったきり黙ってしまった。鍋のグツグツという音だけがしていた。
「いい匂いだね」
「うん。そろそろ煮えたね」
沈黙に耐えられ無かったのは姉ちゃんも同じだったらしい。
「食べよう」
「うん。ビール飲む?」
「……いや、止めとく。尚は気にしないで飲んで」
「え? うん」
お酒好きな姉がここ一週間の間にお酒を一滴も口にしていない事に気づいた。
「姉ちゃん、もしかして」
「ん?」
「妊娠したとか言う?」
ブハッと麦茶を吹いた。
「だからお酒を控えてるの?」
「うーん。まだ分かんないの」
「そうなの?」
「うん。ただの体調不良かもしれないし」
「そうなんだ」
「あんたさあ、よく真顔で恥ずかしげも無く聞けるね」
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