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姉ちゃんは自分の事より他人を大事にするタイプだ。だから弟である俺は、姉ちゃんを守らなければならない。ずっと両親にそう教えられてきた。なのに、今はそれが出来ないのが歯痒い。
「いつまででも、ここに居ていいからさ。俺、仕事を頑張ってるし」
「うん。ありがとう」
夜が苦手な姉ちゃんは、部屋を明るくしたままソファに横になった。
「じゃ、おやすみ」
「おやすみなさい」
俺は寝室のベッドに横になって、今後の対策を静かに練った。
後日、俺は介護士の仕事を休めず、その間に姉ちゃんは一人で病院に行ってしまったらしい。夕方、急いで家に帰ると、姉ちゃんはビールジョッキを片手にドラマを観ていた。
「姉ちゃん、ビール……」
「えへ。妊娠してなかった」
「そ、そっか。良かった……のかな?」
「良かったよ。これで彼と一緒にいる理由ないし……それにさ、お医者さんに言われたの」
「何て?」
「『アンドロイドに妊娠機能は付いてません』って。あは、そうだよね」
「姉ちゃん……」
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