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「私達、人間じゃなかったね。あの人に妻なんだからあれしろ、これしろって色々言われる内に、思い込んじゃってたのかな。尚、分かっていて、それに付き合ってくれたんだね」
「俺だって、人間だったらって考える事あるよ」
感情をプログラミングされた俺達は、ちゃんと涙だって流せる。涙と同じ成分が、感情の昂りに応じて目から流れる。食事だって食べられるし排泄も出来る。唯一出来ないのが生殖活動だが、それを利用者に悪用される事もあり、問題になっていた。
「私、きっと病院から通報される。アンドロイドが妊娠を疑うなんて、普通じゃないもん」
「……」
「姉弟として一緒にいられるのはきっと、今夜が最後」
「うん」
「でも、あいつの所にも調査が入るはずよ。私に対して不適切な行動があったと認められると思う。ブラックリストにも載るでしょう。そしたら、私にしたみたいな事……」
「姉ちゃん、もう良いよ。今日は俺もここで寝る」
「うん。ずっと手を繋いでくれる?」
「いいよ」
姉ちゃんの身体は36.5℃に設定されている。
「温かいね」
「姉ちゃん、ちょっと力強くない?」
「はあ? 普通でしょ」
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