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 小さな頃から、私の姉は有名人だった。  成績は優秀、運動神経抜群で運動会のリレー選手に選抜されないことはなく、品行方正で通っており、友達も多い。  クラスの中心的存在で、クラスの女子が集まる場所には姉がいるといってもよかった。  小学校では児童会長となり、髪型や服装のルールを変えてしまった。そんな勢いだったから、中学校でも生徒会長に担ぎ上げられそうになっていたが、その時はちょっと事情があり辞退していた。簡単に言えば「時間がない」から責任が持てないということだった。  そんなアクティブ極まりない姉を持っているため、二学年下の私はいつも学校の中では、北見環奈(きたみかんな)という名前の前に 「北見玲奈(きたみれいな)の妹の」  という枕詞(まくらことば)がつくことになっていた。  みんなが私に持つ印象は「北見玲奈の妹」というぐらいだと思う。  私は学校では決して目立たない。成績も普通以下、運動会でリレーに選ばれるどころか候補に入ったこともなく、児童会だとか生徒会だとかには縁がない。  正反対の姉妹なんて噂を聞いたことがあるが、それはそのとおりだと思う。全く否定する気はない。  姉と私は正反対だ。  でも、私は悲観して生きていたりはしない。
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