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P.3
そして、ついにその時がやって来た。あの男の人が、なにやらよくわからない器具で孤児院の子供たちを1人ずつ検査している。その様子を見る限りでは、その検査に合格した者はそれほどいないようだ。検査を終えた奴らに話を聞くと―
「なんかよくわからない器具に頭突っ込んで、んで、なんかよくわからない内に検査が終わっている感じなんだよね・・・」
「そうそう!で、なんかすごく頭がぼやけるっていうかなんていうか・・・」
―だそうだ。なんて抽象的な表現なんだ・・・。よくわからないじゃないか・・・。そして、とうとう俺の番がやって来た。すごく緊張する・・・。それが伝わったようで。
「はは、緊張しなくても大丈夫だよ!検査自体はすぐに終わるからね!」
「あ、あぁ、すみません」
「謝らなくていいよ!で、名前は?」
「禮萌です。よろしくお願いします」
「禮萌君ね。よろしく。じゃあ、いってみようか」
(どうなる・・・、俺の運命・・・!!)
ビカーッ。ピー、ピー、ピー・・・。
(うわ、まぶしっ!そして、なんかピーピーいってんな・・・)
「・・・。これは・・・!?すごい、すごいよ!禮萌君!!」
「えっ?」
「合格だよ、合格!こんな子、なかなかいませんよ!すぐに、連れていきます!!」
(う、受かった・・・のか?とりあえず、よかった・・・。でも・・・)
「これで、検査は終わり、なんですか?」
「いや。もしかしたら、もう1人いるかもしれないからまだやるよ!君は、ちょっと別室で待っててね!」
(光の検査結果は見れないのか・・・。でも、大丈夫だ、きっと)
そして、全員が検査終え―
俺と光は連れていかれることが決まった。俺のような結果ではなかったようだが、検査には合格したということで光も連れていかれることになった。
「いよいよ、この孤児院ともお別れだね」
「あぁ。俺たちは、やっと自由になれるんだ。なんかワクワクしてこないか?」
「ふふ。君は相変わらずだね」
「い、いいじゃんかよ!これで俺たちは自由になれるんだからさ!」
「うん!頑張ろうね!」
この時の俺たちはまだ知らない。これから連れていかれる研究施設が、どんなものなのか。そして、これからどんな地獄が待っているのかを・・・。
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