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「先輩、誕生日おめでとうございます!」
「……え?」
「先輩、誕生日おめでとうございます!」
「もしかして俺に言ってる?」
「先輩、誕生日おめでとうございます!」
「や、全然違うけど? 俺の誕生日再来月だから」
「先輩、誕生日おめでとうございます!」
「ってか何でさっきからピクリとも表情を変えないで同じセリフ繰り返してんの? 怖いんだけど」
「先輩、誕生日おめでとうございます!」
「マジでどうした? 後輩スイッチ㋔:お誕生日おめでとうございますか?」
「先輩、誕生日おめでとうございます!」
「誰か助けてくれ! この後輩ロボット、瞬きすらせずに無限に同じセリフ繰り返してくるんだけど!」
「先輩、誕生日おめでとうございます!」
「俺の声聞こえてる? もしかして同じ世界線に存在していない感じ? マンデラって獄死した?」
「先輩、誕生日おめでとうございます!」
「マジでどうすればいいんだよコレ。何したら正解なの?」
「「先輩、誕生日おめでとうございます!」」
「ハモってみたけど違うか」
「先輩、誕生日おめでとうございます!」
「何か一周回って楽しくなってきたな」
「先輩、誕生日おめでとうございます!」
「問題、毎月22日は何の日でしょう?」
「先輩、誕生日おめでとうございます!」
「いやマジで何するのが正解なんだ? この後輩は俺に何を求めてんの?」
「先輩、誕生日おめでとうございます!」
「特定のキーワードを言えばクリアできる感じかな」
「先輩、誕生日おめでとうございます!」
「誕生日、バースデー、ありがとう、プレゼント」
「先輩、誕生日おめでとうございます!」
「どうやら違うみたいだな」
「そのようですね」
「そもそも特定のキーワードを言えばクリアってのが違うのかな」
「先輩、誕生日おめでとうございます!」
「待って、今喋ってなかった?」
「先輩、誕生日おめでとうございます!」
「おい聞けよ、正体表したな。チューリングテスト不合格だぞ」
「いや逆でしょ。ロボットが人間だとバレてるんですから」
「喋った! 後輩喋ったもん!」
「何ですかそのクララが立ったみたいな言い方は」
「どっちかというとトトロのテンションだっただろ」
「まぁ、そんなわけで誕生日おめでとうございます先輩」
「どんなわけだよ。さっきの何だったの?」
「何か面白かったので泳がせちゃいました」
「長ぇよ。泳がせすぎだろ。潜水の記録くらいなら抜きそうだったぞ」
「ところで先輩、誕生日が違うって言っていましたが」
「うん。再来月ね」
「実は部室の時計を一日ズらしていたんですよ」
「いや二か月違うから。60倍足りねぇよ」
「でも時間って60進数ですよね?」
「いや関係ないだろ。何それっぽいこと言って丸め込もうとしてるんだよ」
「聞いたことありませんか? 毎日が誰かの誕生日って」
「ランダムで選ばれるわけじゃないからな?」
「これはアレですよ、時限式の誕生プレゼントなんですよ」
「……どういうこと?」
「メッセージカードってあるじゃないですか。あれって誕生日おめでとうとは書いてますけど、書いているときは誕生日ではないわけですよね?」
「まぁ、大体は。当日に書くことも全然あるだろうけれど」
「仮に先輩が誕生日に死ぬとします」
「なんでだよ」
「そのとき走馬灯で今日の日のことを思い出すわけですよ。ほら、ちょうど良くないですか?」
「何を呑気に走馬灯でなごんでだよ俺は」
「まぁ、冗談はこのへんでやめにしまして。先輩には僕が小説でも書いて送ろうと思いまして」
「お、サンキュー。どんな話なん?」
「実はもう書いてあるので読んでいいですよ。後輩が先輩に『誕生おめでとうございます』と狂ったように言い続ける話です。そこの『Home』っていうキーを押せば読めるので」
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