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田中くんと僕は夏休みの教室に呼び出されるほど成績が悪い。先生は僕らのため特別な宿題を作ると、漢字の読み書きをさせたり、九九を唱えさせたり、あとご飯はきちんと食べているのかなど確認する。
生活面の質問に対し、僕はお母さんの手作りお菓子は美味しいと伝え、田中くんはというと時々ご飯を食べさせて貰えないらしい。
ただ、先生に田中くんご飯が食べられないなんて可哀想と言ってみても困った風に顔をくしゃっとするだけで、きっと確認するまでが先生の仕事なんだろう。それこそ先生にとって僕らは鳴き声だけする蝉、透明な蝉なのかもしれない。
ミーン、ミーン、ミーン、蝉が見下ろす校庭では陸上部が練習をしている。
スポーツドリンクをがぶ飲みする喉元と、ミーン、ミーン、ミーンと腹を蠢かす蝉の動きがふいに重なり、僕は唾を飲み込んだ。
9☓8=72
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