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夢の尻尾
茹だる夏の夜に
冷めやらぬ熱気に
抱かれて憧れる涼やかな環境
見上げる壁に取り付けられた
エアコンはうんともすんとも言わず
インテリアと化して
この夏を飾りとして
過ごすかの様な面構え
働きなさいと言っても
意志の疎通ができるなら
これ程簡単な事も無く
相変わらずの沈黙
感情を荒立てると余計に暑くなるから
じっと横たわり目を閉じて我慢我慢
暗闇のずっと向こうから
聞こえる電車の走る音
車の走行音
誰かが通りを歩いてる音
セミは夜だろうと構わず楽しそうに
夏の夜は耳を澄ますほどに
騒がしく忙しなく僕を取り囲む
夢の尻尾を見つける為に
僕は暗闇の中でじっと目を閉じている
眠るには暑い夜
浸るには酷な夜
夏の夜の寝苦しい夜
夢の尻尾はまだ見つからない
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