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「嘘……なんでわかったんですか?!」
優斗は驚きのあまり口に手を当て目を丸くさせていた。
「当たり前だろ?!何年一緒にいると思ってるんだよ!」
「流星くん〜!」
優斗は目をうるうるさせながら俺に抱きついてきた。
「ちょ、暑い!!離れろっ!!」
俺は必死に優斗を俺の体から引き剥がそうとした。
優斗は頼まれごとなどを断れない性格で、よくクラスの子や先生などに捕まっている。
「……早く帰るぞ!」
俺たちはいつも通りの道を歩き家に帰る。
夏休みの課題や友達の話をしていたらあっという間に俺の家の前に着いた。
「あれ?何してんだ?こんなとこで」
家に入ろうとした時、玄関に俺の弟、吉田空が立っていた。
空は俺と同じ中学に通う1年生だ。
ついこの間まで小学生だったから小柄で制服もブカブカだ。
「……お兄ちゃん!どうしよう…!」
空は今にでも泣き出しそうな顔で俺に問いかけた。
「どうしたんだよ!言ってみろ」
「大事な課題を学校に忘れてきちゃった……」
「……な、なんだよ!そんなことかよ!」
俺はてっきり誰かにいじめられたのかと思った。
空は臆病な性格で気が弱く小学生の時も少しいじられていたからだ。
「課題のひとつくらい大丈夫だろ、始業式の日に忘れたって言えば……」
「忘れたの、数学の課題なんだ…」
「数学って…もしかして先生、谷山!?」
俺が問いかけると空は黙って頷いた。
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