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「なんで裸足なんだよ」
立ち上がった私の足元を見て、先輩が言った。
「だって、先輩が行っちゃうと思ったから、夢中で…」
私が言い終わらないうちに、先輩は私を抱き上げた。
「ケガするだろうが」
先輩はそう言って、私を抱き上げたまま歩き出した。
「先輩、球技大会のときも、こうして保健室に運んでくれましたよね。でも、あの時、足はなんともなかったから歩けたんですけどね」
あのときはあちこち痛くて、恥ずかしくて、でも少し嬉しかったのを思い出した。
「あの時は、俺も気が動転してたからな。俺のひながケガさせられたって」
「俺のって、あの時まだ付き合ってませんでしたよ」
「俺はずっと俺のひなだと思ってたからな」
「勝手に決めないでくださいよ」
「まあ、いいだろう。そうなったんだし」
私達は2人でくすくす笑った。
さっきまで大泣きしていたのがうそみたいだった。
私は先輩がずっと私の先輩でいてほしいと心の中で強く願っていた。
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