バイト探訪の旅

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バイト探訪の旅

「絶対に無茶しないでくださいね!? 私は百草さんが嫌がらない程度の近くで待機してますので、何かあったら大声を出してください! 直ぐに助けに行きますから!」  雪女のつららにそう忠告された翌日。 「はい、はい……そうですか……。 ではまた機会があれば……もう電話してくるな? わ、分かりました……すいません……」  俺はバイト情報誌片手に、電話を片っ端からかけていた。  つららの忠告は正直ありがたい。  人生で何度かあやかしに命を狙われた事があるが、人間と違い襲い方がトリッキーだ。  空から来たり、擬態してたりと。  だから情報そのものは助かる。  心構えと対策が取れるからだ。  が、それはそれ、これはこれ。   「えーと、次は……。 あ、もしもし。 アーリーマートですか?」  いつ遭遇するか判らない化物よりも、今は仕事を探す方が重要だ。  人はあやかしと違って、お金が無ければ食っていけないのだ。  家族から勘当されていれば尚の事。   「はい、もしもし。 アーリーマートの店長、越見です。 ご用件はなんでしょうか」  電話に出た相手は年若い女性。  地域密着型のオリジナルコンビニだったから、少々意外である。  てっきり定年退職したおじさんが働いてるかと。 「バイトの応募をしたくて、電話をさせていただいたのですが……」 「バイトの応募ですか? ええ、募集してますので構いませんよ。 ではまず、お名前と年齢をお願い出来ますか」  
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