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もしかしたら社交辞令かな?とも思ったが、すずからの連絡は意外と早く来た。このまま付き合えるといいな、なんて下心を持ちながら、待ち合わせ場所に向かった。合同コンパで使った店の前にあるベンチだ。一応、プレゼント包装された風鈴も持って来た。
「この前は聞いてくれてありがとう遊真。少しすっきりした。今日って……デートってことでいいかな?」
可愛らしい台詞に俺の表情筋はダルダルだった。少々お茶目でもイラッとしないのは愛嬌のせいだろう。
「あっ……すずがいいなら、俺は大歓迎だけど」
こんな気持ち久しぶりだなと思いながら答えると、すずはまた、涼し気に微笑んだ。
「さっきまで冷たい飲み物飲んでたから、ちょっと冷たいかもしれないけどごめんね?」
俺の手にそっと重ねられたすずの手は、確かに少しひんやりとしていたが、そんなことよりも女性と手を繋いでいることに興奮していた。下心が暴走を始め、妄想は最高潮を迎えた。
これは……久しぶりに恋人の誕生か!?俺は少し夢見心地でデートを楽しんだ。
そして夜になり、そろそろ解散かと思っていた時だった。すずが思い詰めた顔で、ぶつ切りに言葉を発した。
「私……遊、真、が、好きみたい。今日は、遊真、と、朝、まで、一緒、に、いたい……だめかな……?」
俺の妄想をはるかに凌いだ発言だった。
「い、いの……?」
そう言うのがやっとだった。急展開についていけず、道をどういったのか分からないが、気づくと俺は、すずが一人暮らしをしているという部屋のベッドに押し倒されていた。
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