風鈴彼女

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地球温暖化のせいか、近頃は気候がおかしい。極端に暑かったり、寒かったりして過ごしやすい日は殆ど無いように思う。

時期的には夏休みの真っ只中だが猛暑が続いているから屋外に子どもの姿は、ほぼ見当たらない。みんな冷房の効いた室内――ショッピングモールのゲームセンターなんかに詰め掛けているんだろう。

昔は夏になる度に、そこら中で目にしていたアイツもエアコンが重宝されるようになった今では、めっきり姿を見かけなくなった。とは言っても消滅してはいないから特定の場所に行けば売られてはいる。風に揺られ涼し気な音を出すあれのことだ。

ある日の夕食の買い出しの後、気づけば足は雑貨売り場へと向いていた。あれを見ると不思議と彼女の笑顔が頭に浮かぶんだ。初めて会った時の装いが、とても夏らしかったせいかもしれない。

ふと、彼女が好きだと言っていた黄色い花の柄の風鈴を見つけ、思わず購入してしまった。三十過ぎて高校生のように浮き足立っている。プレゼント包装までしてもらって、どうするつもりだ。

彼女とは先日、会社の後輩が主催した合同コンパで出会ったばかりで、まだ贈り物をするような間柄ではないというのに。