10話 妹は兄をインフルエンサーにする(イラストあり)

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 つむぎからの報告を受け、李津はひとまずホッと胸を撫で下ろした。今、彼が向かっている先は、例の廃工場だ。  工場の門が見えて来ると、その前に立つ少女がぶんぶんと手を振ってきた。今回、見張りと連絡役を受け持った莉子だ。 「兄ーっ! ってえええっ!?」 「? なんだよ莉子」 「えちょ、だって顔がっ!! あ、佐蔵井先輩も来てくれたんですね」  李津の隣を歩いていた少女が軽く手を上げる。 「ああ、気になったんでな」  そう言うと、生徒会長・佐蔵井絹は李津を肘でこづいた。 「まったく。あたしの依頼にあたしを動かすなんて、大したタマだよてめぇらは」 「えっ、ダメだったの?」 「呵呵(かか)。いや? そんなこたぁ一言も言ってねえな。こちらが頼んだ手前、協力できることがあるなら力は惜しまねえよ」  楽しそうに断言し、隣の男の頬に片手を添える。 「ったく、こっちを向け、りの字。そして少ししゃがめ。無事でいたけりゃそのまま目ぇ閉じな」 「拳銃とか突きつけられないよな?」 「馬鹿、てめぇのアイラインが落ちてんだよっ!」  ぐいっと、お互いの鼻息がかかる距離に顔が近づく。
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