10話 妹は兄をインフルエンサーにする(イラストあり)

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 躑躅(つつじ)に腕をしっかりと掴まれ、仲間からの助けもない。簡単に逃げられないと自覚した薔櫻薇は、ふてくされてそっぽを向いた。  だが、躑躅の説教はこれからだ。 「ったくおまえは。見ろ、こんなに大勢に迷惑をかけやがって。それに普通に不法侵入だろがよ」 「うるせーな! あたしがパクられようとも、兄貴には関係ないだろ!」 「関係あるわバカたれが!」 「ねえよ!」 「あるんだよ、おまえの兄貴だぞ!」 「はああ?」  薔櫻薇(バサラ)はふつふつとわき上がる苛立ちをぶつけるように、躑躅(つつじ)を睨みつけた。  それでも――。 「無駄だ。もう俺は、おまえから逃げねえ!」  いつも薔櫻薇(バサラ)から目をそらして来た躑躅(つつじ)が、妹の威嚇を受け止めた。 「ダルいよ、兄貴(てめぇ)。今さら響かねーんだよ!」  今度は薔櫻薇も引かない。フリースタイルダンジョン(くちげんか)は続く。 「はあ? 兄だぁ? 留年して、妹に学年を越されてんのに? 尊敬どころか、学校で視界に入るたび、恥ずかしいんだよ! てめぇを兄貴だなんて認めてねーから! わかったら手を離して、とっとと帰れよ!」 「おう、確かに俺はまっとうな人間じゃねえ。おまえよりも出来が悪いしなぁ」  自虐した薄笑いを浮かべて、躑躅(つつじ)は手に力を込める。 「だけどなあ、おまえがどう思おうが、俺たちはれっきとした兄妹だ。妹が間違ったなら、止めるのが兄なんだよ!」
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