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一兄妹のフリースタイルは、妹・薔櫻薇による肘打ちとピュアな告白にて、一度ブレイクが入った。
S席で見守るのは、決闘相手だったはずの『卍・ザ・カヌレ』総長のキラリと応援の少女たち、争いを止めに来たはずの李津、そして『キャット・キス』所属の少女たちである。
「なんで推しを諦めろなんて、兄貴に口出されなきゃいけねーんだよ!!」
頬を染める乙女な薔櫻薇に、『キャット・キス』の少女たちがきゃあきゃあと騒ぎ立てた。
ケンカはどこへ行ったのか、完全に恋愛リアリティーショーを楽しんでいる。
「俺から巻き上げた金で男に貢いでるからだろがよ!!」
だが躑躅の一言で会場の温度が下がった。
えっ、人のお金を使って啖呵切ってたんだ。みたいな。
ここにきて、リーダーの面目は丸潰れである。
「そこまで言うなら、てめぇで話つけろ」
躑躅はスマホを耳に当てた。
「というわけで、つむぎ、よろしく」
スマホがポケットにしまわれるのと同時に、薔櫻薇とキラリの視線が廃工場の入口へと釘付けになる。
「ガ、ガクト様??」
入り口に、いつの間にか若い男が俯いて立っていた。
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