10話 妹は兄をインフルエンサーにする(イラストあり)

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 (にのまえ)兄妹のフリースタイルは、妹・薔櫻薇(バサラ)による肘打ちとピュアな告白にて、一度ブレイクが入った。  S席で見守るのは、決闘相手だったはずの『卍・ザ・カヌレ』総長のキラリと応援の少女たち、争いを止めに来たはずの李津、そして『キャット・キス』所属の少女たちである。 「なんで推しを諦めろなんて、兄貴(てめえ)に口出されなきゃいけねーんだよ!!」  頬を染める乙女な薔櫻薇(バサラ)に、『キャット・キス』の少女たちがきゃあきゃあと騒ぎ立てた。  ケンカはどこへ行ったのか、完全に恋愛リアリティーショーを楽しんでいる。 「俺から巻き上げた金で男に貢いでるからだろがよ!!」  だが躑躅(つつじ)の一言で会場の温度が下がった。  えっ、人のお金を使って啖呵切ってたんだ。みたいな。  ここにきて、リーダーの面目は丸潰れである。 「そこまで言うなら、てめぇで(ナシ)つけろ」  躑躅(つつじ)はスマホを耳に当てた。 「というわけで、つむぎ、よろしく」  スマホがポケットにしまわれるのと同時に、薔櫻薇(バサラ)とキラリの視線が廃工場の入口へと釘付けになる。 「ガ、ガクト様??」  入り口に、いつの間にか若い男が俯いて立っていた。
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