10話 妹は兄をインフルエンサーにする(イラストあり)

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「どうする(マン)子」 「あん? どーするってなにが……つかキラリだっつの!」 「あたしはもう降りてもいーわ。なんか冷めた」 「ウチこそもうねーだろ。認知されてないとかガチで萎えるんだけど」 「あはははは、そりゃそーだw ネットはしょせんネットってこったな。ほら、おめーももうへこむのはやめな」  しゃがみ込んでうじうじしているキラリに、薔櫻薇(バサラ)は手を差し出した。キラリは少しためらったあと、その手を取って立ち上がる。 「んじゃ、これで手打ちな、薔櫻薇」 「仕方ねえなあ、キラリ(・・・)」  あらためて手を握り合うと、二人は晴れやかな表情を突き合わせた。  彼女たちのために集まった面々も、長かった抗争の幕引きをあたたかく見守る。  赤と白が交わる美しいシーンの片隅で、ガクトはゆっくりと後ずさっていた。 「はは、じゃあ僕はこれで……」 「あん?」  特攻服の女たちと、紅白それぞれの戦闘服を着た少女たちの視線が、一斉にガクトへと向かった。 「おいおい、せっかく来たんじゃん、ガクト様。ゆっくりしていきな?」 「そーだ、あーしらと写真でも撮ろうぜ?」 「ひいいっ!!」  リーダーの二人から同時に詰め寄られ、ガクトは腰を抜かして尻もちをつく。 「ヤボだと思って言わなかったけどさー、ウチら以外にもカモがいるんだろお?」 「はは……ヤボだと思うなら言わないで欲しかったかな……」 「押忍(おす)、チーズ! うぇーい連写ーっと。これタグ付けしとくわ」 「ちょっ!? か、加工を!!」 「ああん? あたしらそのままでかわいいから、加工なんていらねーんだよ。『ガクト様(笑)とチル〜』っと」 「せめて、一回チェックさせてくれ! なんなら俺が加工もしてあげるからああああ!!」  みっともなくすがりついて懇願(こんがん)するが、薔櫻薇(バサラ)たちが聞き入れるはずがない。最終的にはめそめそと泣き出すガクトだった。  この後、彼の素顔がファンたちの間で拡散されてプチ炎上となり、垢消しして逃亡するはめになったのだがまた別の話。
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