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「どうする卍子」
「あん? どーするってなにが……つかキラリだっつの!」
「あたしはもう降りてもいーわ。なんか冷めた」
「ウチこそもうねーだろ。認知されてないとかガチで萎えるんだけど」
「あはははは、そりゃそーだw ネットはしょせんネットってこったな。ほら、おめーももうへこむのはやめな」
しゃがみ込んでうじうじしているキラリに、薔櫻薇は手を差し出した。キラリは少しためらったあと、その手を取って立ち上がる。
「んじゃ、これで手打ちな、薔櫻薇」
「仕方ねえなあ、キラリ」
あらためて手を握り合うと、二人は晴れやかな表情を突き合わせた。
彼女たちのために集まった面々も、長かった抗争の幕引きをあたたかく見守る。
赤と白が交わる美しいシーンの片隅で、ガクトはゆっくりと後ずさっていた。
「はは、じゃあ僕はこれで……」
「あん?」
特攻服の女たちと、紅白それぞれの戦闘服を着た少女たちの視線が、一斉にガクトへと向かった。
「おいおい、せっかく来たんじゃん、ガクト様。ゆっくりしていきな?」
「そーだ、あーしらと写真でも撮ろうぜ?」
「ひいいっ!!」
リーダーの二人から同時に詰め寄られ、ガクトは腰を抜かして尻もちをつく。
「ヤボだと思って言わなかったけどさー、ウチら以外にもカモがいるんだろお?」
「はは……ヤボだと思うなら言わないで欲しかったかな……」
「押忍、チーズ! うぇーい連写ーっと。これタグ付けしとくわ」
「ちょっ!? か、加工を!!」
「ああん? あたしらそのままでかわいいから、加工なんていらねーんだよ。『ガクト様(笑)とチル〜』っと」
「せめて、一回チェックさせてくれ! なんなら俺が加工もしてあげるからああああ!!」
みっともなくすがりついて懇願するが、薔櫻薇たちが聞き入れるはずがない。最終的にはめそめそと泣き出すガクトだった。
この後、彼の素顔がファンたちの間で拡散されてプチ炎上となり、垢消しして逃亡するはめになったのだがまた別の話。
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