11話 妹は兄の誤解をときたい!

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 怒涛の週末も過ぎ、また新しい一週間が始まった。  ちまたでも有名なレディース総長の抗争を無効化した李津たちだったが、その功績が学校に広まることは特になかったので、彼の評価は以前と変わらずだった。  ただ“李津は”というだけで、妹は違った。  まずいじめに遭っていた陰気宮妹は、なぜか数日前からアイドル級の美少女へとあか抜けまくっている。  そして明るくてかわいくて、もはや学校中に名が知られているギャル宮妹も、変わらずファンは多い。  どこにいても目立つ姉妹に、生徒たちの多くが好意を寄せていた。  そんな妹の中心で登校しているのが、兄のモブ宮李津である。 「莉子ちゃんとつむぎたんだ! 朝から眼福……と思ったら、真ん中いらねえええ!」 「兄だけなんか異質くね?」 「真っ黒な妹もお兄さんに似てると思ったけど、顔を出したら莉子ちゃん側だったな」 「本当に兄妹か、あれ??」  ギャラリーが言いたい放題なのも、印象にも残らないモブのくせに、兄というだけで高嶺の花と一緒にいることへの嫉妬心からだ。  周りにヒソヒソされていることに、もちろん気づいている有宮一家。 「うぅ〜。先輩方、おにーちゃんに失礼なのでぇ〜」 「さすがに兄、舐められすぎでは」 「ん? 言いたいやつには言わせておけばいいよ。話しかけられないから、静かで快適だぞ?」  苛立たしげなつむぎと莉子だが、肝心な李津はこんな感じで、どこ吹く風。  海外では、登校中に足を引っ掛けられることも多々あったが、陰口だけで手を出されないこちらは天国のようである。 「そーいうところがダメなんですよ!」 「ダメかな? そりゃ、女子にはモテる方がいいけどなぁ」  李津のだらしない声に、妹たちはサッと無表情になる。 「やっぱりぃ、おにーちゃんはそのままでいいかなぁ〜」 「まっ、寂しければあたしたちが構ってあげます!」 「? なんなんだおまえら」  首を傾げる李津に、妹たちは両側からぴとりとくっつくのだった。
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