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――最悪だ。
そう嘆く彼の瞳から、光は失われていた。
状況を見てみよう。
彼の右側にフォーカスしてみれば、ツインテールの少女が爪を立てて壊死させようとしている。
「は? うちの兄が超ー絶イケメンだからって、みんなバチバチに見過ぎじゃないですか? おいそこのおまえ、不敬!!」
それはない。今すぐにでもその子を眼科に行かせてほしい。
さらに左側へアングルを変えてみれば、左腕ももれなく黒髪の儚げ少女が胸を使って圧迫している。
「なっなんぴとたりとも絶対に! おにーちゃんには近づけないのでぇ〜〜! フガッフガッ!」
儚げ少女、鼻息鼻息。
両手に花。という状態で校門をくぐろうとする中央のハッピーボーイは、言葉を発せなかった。その理由を探るためにもう一度、心中をのぞいてみよう。
は? 羨ましい?
うるせー、バーカ!!
ハッピーボーイの願いは「誰にも干渉されないよう目立たず静かに暮らすこと」である。
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