1話 初めまして、妹です

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 ◆  それから二人は、橋を渡った向こう側のコンビニで食料を調達することにした。  李津は遠慮する黒髪に無理やり札束を握らせて、二人分の買い物を託した。  若い茶髪のコンビニ店員が、女の子をリードするように会計するのを後ろからガン見。  なるほど、そう言う感じね。とは、李津の腹の内。  フロムアメリカンボーイ、日本での買い物のデモンストレーションついでに夕飯をゲットである。  ◆ 「それでぇ、『邪魔だから出てけ』って追い出されてぇ〜」  買い物を終えた二人は、コンビニの外の縁石に腰を掛けて、買ったばかりのパンを食べることにした。  その間、黒髪の少女は自分のターンとばかりに身の上を話していた。壊れた蛇口のように言葉は止まらない。 「わたし、どこに行っても、うまくできなくてぇ」 「んんっ!?」 「今日もぉ、そんな気ないのに怒らせちゃってぇ」 「なんだこれ。パンめちゃうま! ほら、あんたも食ってみ!?」 「えっ? はぐっ」  パンを口に突っ込まれて、女の子は目を白黒とさせる。ここに座ってから初めて黙った瞬間だった。 「へぇ、惣菜パンも種類豊富なんだなぁ。うちの近所のコンビニ、ハンバーガーがゲロの味するんだよ……」 「もぐもぐ」(この人ゲロ食べたことあるんだ……という顔) 「サービスもいいし、清潔だし。やるなー日本!」 「??」(あなたも日本人では? という顔) 「満足満足。じゃあ行くわ、サンキュー!」 「待ってぇ! まだ話は終わってないぅ〜!」  流れで離脱しようと試みた李津だったが、そうは問屋がおろされなかった。シャツをつかまれ、仕方なく女の子の隣に座り直す。  解放されるためには、目の前の子を納得させるしか方法はない。一本道ゲーかよと、顔をしかめる李津である。
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