acht

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 昼休み、また三人で食べようと烈己から誘ったものの、早くも烈己は自らの提案を後悔しはじめていた。 「……なんかお腹いっぱい……」烈己は一口目のブロッコリーを齧っただけで妙な疲労感から箸を置いた。 「どうした? 具合でも悪い?」  心配そうにこちらを伺う羽川の姿に申し訳ないと思う反面、誰のせいだと思っているんだと叫びそうにもなる。 「うう……ん、てか羽川今日鏡見た?」 「鏡? 朝顔を洗った時に見たと思う……けど、なんで?」 「なんでって……そのぉ〜」  奥歯にモノを引っ掛けまくった烈己が眉根を寄せる。 「お前の顔が気持ち悪いってよ」  ヒトゴトのように江はいつものカフェオレを啜った。 「江っ、俺そんなこと言ってないから!」 「き、きもちわるい……?」  秀は自身の顔をさすりながら目を点にしている。 「違うっ、違うの、なんていうか、もう羽川の頭がお花畑すぎるのが外へ漏れ漏れなの。いつも無表情だったくせにさ、今日はずっと口元ユルユルなんだもん〜態度があからさますぎて見てる俺のが恥ずかしい」 「悪い……」さすがに恥ずかしかったのか、秀は口元を押さえた。 「あのさ? 俺、お邪魔だよね? 教室で食べても良い?」 「だめっ! 烈己が帰るなら俺も帰る!」 「ハア?! 何言ってんの! 羽川は江の彼氏でしょ!」 「かれし……」 「おいっ、いちいちその単語にリアクション取るな! 気持ち悪い!」 「江ってば! もっと優しくしなよっ」 「二人きりの時にするから今はいいの!」 「「えっ?!」」  烈己と秀は同時に驚き、お揃いのまん丸の目で江を見た。 「聞いた? 羽川っ、江がデレた!」 「聞いた、良かった。証人がいなかったら俺の幻聴で終わるとこだった」 「連体組むな! そこ!」  臍を曲げた江は二人からそっぽを向いてわざと音を立ててカフェオレを啜る。 「なんか、安心した」烈己ははにかんで秀を見る。 「ん?」 「ううん、やっぱ江はツンデレだなあって。末永く仲良くね、羽川」 「はい」 「おい、勝手に一人で未来決めんな」  眉間に深い皺を寄せた江に向かって、烈己は声を出して笑った。
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