世界の終わり前編

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 感情を押し殺そうとしても涙は止まらない。思わず手錠の掛けられている両手で顔を隠す。更にしゃがみ込もうとするが、それは許されなかった。  左右の警察官が私の体を無理やり持ち上げ、顔を隠している両手まで剥がされる。  その警察官の表情をはっきり見てしまった。  呆れている表情だ。  この警察官だけではない。この部屋にいるほとんどの警察官が呆れている表情か、憎しみのこもった目で私を睨みつけている。  当然だ、私は最低な殺人犯だ……  当然の報いを受けるだけ。   でも……どうすれば……違ったの……?  どうすれば……良かったの……? せめて、この答えだけは知りたかった……  違う警察官が私の首にロープを巻き付けようとする。
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