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「甘くない?」 訊ねているのに、彼女はそれには答えずくるくるストローを回してもう一度口をつけた。 「ひとくちじゃないね、それ」 彼女は笑いながら、でも美味しそうに俺のキャラメルマキアートを飲んだ。 「んー、あんまっ。あ、私のも飲んでいいよ?」 「じゃあ、いただきます」 彼女がしたのと同じようにグラスに手を添え、ストローを咥えた。 「おいしい?」 「んー、うまい」 「……ねえねえ」 呼ばれてグラスの中身から視線を上げると、なぜかものすごい笑顔がそこにあった。 「いま、しちゃったね」 テンション高めの囁き声。きっと、間接キスとか言いたいのだろう。 「ね」 語尾だけの相槌を返して、二つのグラスを交換する。 キスなんてもう何度もしているのにこういうことを言ってくるのはどうしてだろう。そして、そのたび妙に照れる自分が恥ずかしい。 まあいいんだけど。彼女が楽しいと、俺も嬉しいわけだし。 「莉乃、まだ何か見たいものある?」 「ううん、ない」 「じゃ、これ飲んだら俺んちいく?」 「うん」
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