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「なに……」
「ううん。それって愛なのかな、って思って」
ギクリとした。彼女が、ほとんど確信したみたいな顔をしていると感じて。
愛に決まってるよ。
そう言いたかったけれど、愛とか恋とか好きとか、女の子が好きそうなそういう言葉をさらっと口にするのはちょっと難易度が高い。とにかく照れくさくて。
俺たちが付き合いだしたのは彼女が告白してくれたからだったし、そもそも自分から熱烈に迫るなんてことはできそうにないタイプだと、自分でも思う。
だから、君のいない世界なんて考えられないよ、君なしじゃ僕は生きられない、なんて言葉を求められているのだとしたら、それを声に出すのはかなりハードルが高い。
だって、結構本気でそういうことを思っているわけだから。
「莉乃、眠いんじゃないの? よしよし」
寝かしつけるみたいに頭を撫でてみた。もちろん、ごまかすためにだ。
「あ、ごまかした」
「そんなことないよ」
「じゃあ、愛だった?」
「えっ……まあ、そう、だね」
彼女はまたニマニマ笑った。その嬉しそうなこと。
やっぱり俺が負けてるなぁ、と思う。
「優大もおいでよ」
もぞもぞ動いて壁際に移動した彼女に、ベッドをポンポンされた。
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