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「いや、俺のベッドだし、眠くないし」
「苦しゅうない」
俺は苦しいのに、と思った。
彼女とは、一年ちょっと付き合ってキス止まりだ。それ以上については、拒まれているわけでもなく、俺が拒んでいるわけでもなく、お互いそういうことに関心がないのとも違うんじゃないかと思う。
ただ、大事にしたいと思ったから、勝手な暴走はしないよう耐えてきた。タイミングを図っているというか。
それなのにこうやって誘惑してくるのは、俺という男を試しているからだろうか。だとすれば何を試されているんだろう。
理性? 度胸?
「襲われたらどうすんの」
「受けて立つ!」
参った。俺の彼女はかなり勇敢らしい。
だけど、彼女のこういうところを見ると、こっちまで奮い立つような気になるのだからすごいと思う。果敢な勇者に憧れるみたいに、強気の彼女に魅せられる。
それでも今回は困る。俺のベッドで一緒に横になれなんて、こんな状況で奮い立ってしまったら、今まで耐えてきた意味がなくなってしまうじゃないか。
そう考える裏で、ついにその時が?! なんて思わないわけじゃないのも事実なんだけど。
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