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そりゃ年頃の男の端くれだからそういう欲求はもちろんあるわけで、女の子への興味がないとは言わない。 ただ、その欲求を彼女に向けたせいで傷つけるのは嫌だったし、拒否されて自分が傷つくのだって正直怖かった。そんなことになるくらいなら、穏やかに傍にいるだけでもいいんじゃないかって。 てなことを心の中で言いはしたが、来たるときのための予習は一応してあったわけで、結局そうなのかよ、なんて思われてしまいそうなんだけど。 やっぱり、男の端くれってことなんだと思う。 でも、とりあえず今すぐしなきゃならないのは、彼女の不安をなくすことだ。 解決方法は、自分の心情を正直に伝えること。 「莉乃のこと、ちゃんと、思ってるよ」 こんな距離でじっと見つめられながら心の内を吐露するのはやっぱりキビシイな、と思ったけれど、彼女が嬉しそうに微笑んでくれたことで安心した。 ふと、自分の父親にもこんな経験があるんだろうかと考えた。 こんな気恥ずかしさを乗り越えて母親と結婚に至ったのだとしたら、それってすごいなと、普段は感じない敬意を覚えた。 大人の男、すごい。 「優大くん。嬉しいけど、女子はもうちょいバシッと言ってもらいたいわけですよ」 彼女がまたニマニマ笑い出した。 「バシッと……」 ハードルが上がった。一体どの高さまで上がるのかと考えるのは、怖すぎるからやめておこう。 けど、このハードルは男として乗り越えなきゃならないわけだ。 だったら期待に添えるよう、やってみなくちゃ。
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