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「じゃあどうぞ」
彼女は俺の手を取り、俺がしたのと同じように口づけた。
なんとなく、気分がくすぐったい。
「じゃあ、また俺の番ね」
さっきと同じように手を取ると、今度は手のひらが上を向くように持ち上げてみた。
ふっくらしたところに口付けると、ここも思いのほか柔らかくて感心した。
彼女を見ると少し驚いたような顔をしていて、頬もまだほんのり赤かった。
彼女の番になって、同じことをされた。
彼女の気持ちが少しわかるような気恥ずかしさを覚えた。自分からするのもドキドキするけど、される方もかなりの羞恥心と戦っているのだ。
また俺の番になって、今度はどこにしようかと悩む。
手のひらが柔らかかったから、腕の内側なんてどうだろう、と思いついて狙いを定めた。
また手を取ると
「優大手フェチ?」
と訊かれたので
「そうじゃないけど」
と答える。
手首を高く持ち上げると、折れ曲がっていた肘から手首の内側が露わになった。
「え、なんか」
「ん?」
「恥ずかしい、これ」
彼女が軽く身を捩る。
半袖の奥に隠れた脇のあたりまで見えてしまいそうだからだろう。
「でも、練習だから」
至って真面目な顔でそう告げると、彼女は少し困ったような、それでいて神妙な顔で頷いた。
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