儀式

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チュセは最後尾から、その隊列を冷めた気持ちで眺める。 枝の隙間から除く湖面は小さく波打っていた。 曇った空を映したその色は、暗く沈んでいる。 そして、中央には、水守と次期水守によって作られた筏が浮いていた。 贄に選ばれた娘は、水守の漕ぐ船に乗せられ、あの場所へ降ろされる。 そして、たった一人で水龍様のお召しを待つのだ。 水守でさえ、水龍様のお姿を拝むことは許されていない。贄だけが、その声を聞き、尊き御身を見ることが出来る。 しかし、それを村の人間に伝えることは叶わない。 なぜなら、贄はもう村には戻れないからだ。 「我が村の命、尊き神の御使いであらせられる水龍様よ。永きに渡る盟約を果たす十年の時が再び参りました」 ジョセフの嗄れ声がしんと静まり返った湖に響く。 その横でカイザスは膝を付き、後ろに一列に並んだ娘達達は手を合わせ、頭を垂れる。 「どうか、貴方様の贄に相応しい娘をお選び下さい」 カイザスは湖畔に予め置かれていた籠を手に取り、立ち上がる。 そして、娘達の前をゆっくりと進みながら、鈴を集めていく。 チュセはそっとその様子を覗き込む。
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