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それでも諦めきれず、こうしてまとわりついて気持ちを告げ続けている。
毎回毎回、心臓が飛び出しそうになるほどの心地で話し掛け、冷たい態度に胸が潰れそうになるほど傷付いても、止めることが出来ない。
けれど、チュセはついに覚悟を決めた。
「カイザスに頼みたいことがあるの」
「お前の頼みに応える理由がない」
チュセは早口で言い切った。
「私の処女をもらって欲しい」
カイザスは一瞬目を見開き、直ぐに顔を逸らした。
「馬鹿なことを言うな」
チュセは縋り付く。
「お願い、他の人にこんな事頼めないし、他の人じゃ嫌なの!」
「うるさい、離せ!」
「どうしてもダメなの?」
「何でお前のくだらない思い込みに付き合わされないといけないんだ?ふざけるな」
カイザスはチュセの手をふりほどき、鋭く睨むと
扉から出ていく。
チュセはその背中を追う。
「どうしたら引き受けてくれる?」
「………」
「見かけが気に入らないなら目を瞑ってても良いよ、声も出さない」
「………」
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