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「それは…」
チュセは額に手を当て、首を振る。
「違うわ…。確かにジョセフは卑怯な人間だけれど、そうじゃないの」
「いや、そうだ。儀式なんて嘘っぱちで、贄に選ばれた娘をかどかわして金に替えてたんだ」
「儀式は本当よ」
カイザスはチュセの言葉に顔を歪め、腕を握る手に力を込めた。
指が皮膚に食い込む。
「何故だ…?お前は言い伝えなんか信じてないと言ったのに!」
チュセはカイザスに向かい、ゆっくりと告げた。
「ええ、私は言い伝えは信じていない。けど、水龍様は信じてるのよ」
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