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「アイツは、俺に言った。“助けてやっても良いが、チュセと親しくするのは止めろ。チュセは罰当たりな忌み子だから、お前まで水龍様に祟られる。それと、今日見た事は誰にも言うな”と」
カイザスは声を絞り出す。
「でないと、チュセをまた湖に沈める、と」
カイザスは声を詰まらせた。
チュセは愕然とした。
なんて事だ。
カイザスはそんな秘密を一人で抱えて、これまで生きてきたのか。
異質な幼なじみが排除されることを、ずっと恐れて…
「カイザス、ごめん、ごめんね、そんな事、ちっとも知らなかった。…私に関わって迷惑を被るのが嫌だから避けているのだと思ってた。てっきり、人とは違う私が気味が悪いのだと思ってた」
カイザスはチュセの両腕を掴み、再び首を振る。
「俺はずっと憧れてた。自分の気持ちに素直で揺るがないお前の事。だから、俺が守るって決めてた。ずっと、ジョセフの事を監視していたんだ」
「もしかして、次期水守に立候補したのも?」
カイザスは頷く。
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