水龍様

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「大半の村人達に罪はないの。先祖の決めた理に従ってきただけなのだから。けれど、彼らももう開放されるべきだわ。ここはもう楽園じゃない。澱んだ水槽なのよ。だけど、ジョゼフはそれを許さない。何としても妨害する筈よ」 「でも、俺はっ」 「どうかジョゼフを阻止して、カイザス。貴方にしか頼めないの」 チュセはカイザスの頬を挟み、額をつけた。 「私達は共に勇者よ。村と水龍様を救うの」 「俺はそんなものにならなくたって良い」 「生きてればどこかで会えるかもしれない」 「かもしれない事には賭けれない」 「頑固ね」 「お前こそ」 チュセはため息をつく。 「もう、時間切れだわ。水龍様がやきもきしてる」 「わかるのか?」 「実はツーカーなのよ。結構湖には通ってたの。ジョセフの目を盗んでね。奉賛の間もずっと話してたし…カイザスの事を愚痴ったり」 「…だとしたら、水龍の俺への印象はさぞ悪いものに違いない」 「それと同じくらい惚気けてたから大丈夫」 「あんなに冷たくしていたのにか」 「そんな簡単には嫌いになれなかったわ。カイザスってばどんどん格好良くなっていくし。それにほら、私って馬鹿だから」
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