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Epilogue:今沢 真理恵
レッスンに穴が開いてしまったので、急に時間ができてしまった午後。
特にやることもないので、ピアノ教室を兼ねている横浜の自宅を出て最寄駅へと向かう。陽射しが強そうなので、日傘を持って。
こんな日は海に行くに限る。私は海が大好き。砂浜が見える防波堤に座って波の音を聞いているだけで心が洗われる。
母から受け継いだピアノ教室を続けて行くのは、思ってた以上に大変だ。生徒のひとりひとりと向き合い、適性に合った方法を探して指導しなければならない。
お母さんも、お祖母ちゃんも続けて来たんだ。私にできないはずがない。と、自分に言い聞かせて続けているけど。でもやっぱり折れそうになる時はある。
そんな時は『ひまわり』の人達とお酒を飲むか、最愛のヒカリさんに愚痴るか。その両方が叶わない時は、海を見るに限る。
こんな時は横須賀へ向かうことが多い。ヒカリさんが働いている『本町ストア二号店』の近くには岸壁になっている海岸しかないけど。
ちょっと歩いた三笠公園の傍に、小さな浜になっている場所を見つけた。日陰になる場所もあって、そこが私のお気に入りの場所。
いつも工事をしていて終わる気配がなく、完成形を誰も知らないからか『日本のサグラダファミリア』とも呼ばれている横浜駅で京急に乗り換えて、私は横須賀中央駅を目指す。
横須賀に住んでいるセージさん達から誘われることも多かったので、以前から横須賀へは度々訪れていたけど。
それでもヒカリさんと付き合うようになってから、その頻度も増した。
今ではこうして少しでも時間ができると、すぐに横須賀へと向かってしまう。
でもこの時間では、彼はまだ仕事中。なので先に少しだけ彼の店に顔を出してから、ヒカリさんが仕事を終えるまでどこかで独り時間をつぶす。
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