11 恋とか愛とか

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 11ー6 夫?  「とにかく、もうしばらくの間は、『アロアナード』での活動は続けるように」  マスターが俺に命じた。  「それを続けることで我々の魔王は、よみがえる筈だ」  「しかし」  俺が言いかけるとすでに電話はきれていた。  まったく。  俺は、深いため息をついた。  意味がわからん!  マスターたちは、俺が『アロアナード』での活動を続けることが何かいいとに繋がると思っているのか?  だが。  俺は、にやりと笑った。  まだまだ俺は、『アロアナード』に行くことができる。  俺は、決意した。  早いところ、『アロアナード』での足場を固めておかなくては。  そして、俺は、いつか頃合いを見計らって逃亡するのだ!  もう、魔王なんてどうでもいい!  ここからは、俺の将来のために『アロアナード』に行くのだ。  ただ、俺のためだけに俺は、生きる!    翌朝、俺は、清々しい気持ちで起き出した。  これからは、もう、魔王をよみがえらせるためには、俺が、『アロアナード』を攻略するしかない。  俺は、ベッドに横たわったまま思っていた。  『アロアナード』の攻略。  それは、いったい何をすればいいのか?  国をとることだろうか?  それとも神を倒すという路線を続けた方がいいのか?   まあ、それは、なるようになるだろう。  俺は、それなりに満足した吐息をつくとベッドの中で寝返りをうった。  うん?  なんか柔らかいものが体に触れる。  なんだ?  黒江にしては大きいし。  俺は、布団をめくった。  そこには。  眠っている美少女、正確には、アイラの姿があった。  しかも全裸で。  俺は、布団を戻すと深呼吸をした。  落ち着け。  俺は、呪文のように唱えていた。  落ち着け、俺。  これは、何かの間違えだ。  俺は、昨日の夜、確かに、一人で眠りについた。  たぶん、夜中に寝ぼけたかなんかしてアイラが潜り込んできたのだろう。  つまり、俺に罪はない。  「んっ・・」  アイラが呻いた。  俺は、身を固くしてできるだけアイラから距離をとった。  アイラは、目覚めると俺をぼんやりと見つめて微笑んだ。  「おはよう、我が夫よ」  はい?  俺の頭の中を走馬灯のように今までの人生がよぎっていく。  どういうこと?  なんで、俺がこいつに夫呼ばわりされてるわけですか?
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